未経験のバンジョーレッスンに通って早半年が経過しました。
いつものようにレッスンに通って、マイペースに「弾けない~(;”∀”)」なんて言いながら練習していたある日、先生から来月発表会があるんですがどうですか、来ませんか?と誘われました。

どうも!無趣味社会人ことたっつーです!
なんでも先生が教えている生徒さんを集めて定期的に開催している発表会なのだとか。見学だけでも大丈夫ですから、とライトな感じのお誘いだったので二つ返事で「行きます」と答えました。
私が通っているのはマンツーマンレッスンで、他の生徒との交流がないどころか見た事すらなかったので、他にどんな人がバンジョーを習っているのか興味がありました。それに先生以外の人がバンジョーを演奏しているのを聞いたことがなかったので、見てみたいと思ったのです。
何故か発表会で演奏することに
知り合いどころかあったことのある人すらいない発表会なんて人見知りの私にとっては若干気が引けるけど、まぁ見学だけだし、と気楽に構えていたのですが、次のレッスン時に「今度の発表会、たっつーさんも弾いてみたらどうですか」と先生から言われました。
「人前で演奏するのは早いうちに慣れておいた方がいいんですよ」と言われ、まぁそれもそうか、でも今後自分の人生において人前で演奏する機会なんて発生するのか…?という疑問は抱きつつも、とりあえずやってみる精神の私は「ん~簡単な曲なら…」と即決。
正直現時点で人前で披露できるレベルには到底到達していないけれど、まぁその気になって練習すれば上達するような気がしてしまったのです。
自分で好きな曲を選んで先生と合わせて披露するらしく、「私が完璧に合わせますから!」と言ってくれる優しい先生。その日は演奏曲を選んで、あと1ヵ月半くらいの間で仕上げなければ…!とひそかに闘志を燃やしたのでした。
真剣に練習し始める

普段のバンジョーの練習も、それまでは仕事から家に帰って数分ちょろちょろっと弾くだけだったのですが、発表会に参加するとなると気合を入れて練習しなければなりません。
休日は2~3時間、家の近くの河原で集中的に練習しました。隣に釣りをしているおじさんがいたり、昼寝をしている若者がいたり、座っておしゃべりしている学生がいたり、トランペットを練習している人がいたり。河原って想像以上に色んな人が思い思いの時間を過ごしていて、平和な気分になれます。
そんな特訓の日々の甲斐あってか、課題曲もなんとなく弾けるようになりました。前まで弾けなかったプリングオフ・ハンマリングオンといったバンジョー特有のテクニック奏法もちょっとだけできるような気がしてきたり、簡単なコードを覚えたり指移動も少しずつスムーズになってきたり。
こうやって上達しているのが目に見えてわかるようになると断然モチベーションもあがります。
気づけば発表会前日

そしてあっという間に日は過ぎて、いよいよ発表会前日。レッスンには月に1回しか通ってないため、タイミング的に発表会前に先生と合わせる時間がこれまで取れませんでした。そして前日になってようやく、先生と最初で最後の合わせ練習。雨の中教室へと向かいました。
演奏曲を先生と初めて合わせます。1人で弾くのとはやっぱり違って、先生と合わせるだけでも何故か無駄に緊張してしまって、いつものように指は動きません。明らかに発表会で演奏するレベルに到達していなくて、とっても気まずい。
どの面下げてこの出来栄えの演奏を明日披露すればいいんだろうと思っていると、いつものレッスンでは全然弾けてなくても「素晴らしいです!」「完璧ですね!」と適当に褒めてくれる先生が、今日ばかりはいつもよりも覇気のない声で「完璧です…」と小声でつぶやく優しくて適当な先生。
そして明日の演奏についての説明をしてくれるのですが、ギターパートがどうのこうの、マンドリンパートがどうのこうのと、ここで初めて知らされる別パートの存在。え、先生と2人で合わせるって話じゃなかったですか?
最初に発表会の話を振られたときも、「私が完璧に合わせますから!」と完全に2人で演奏するニュアンスだったのを私は忘れていない。まぁそれなら最悪途中で演奏が止まっちゃっても別に迷惑かからないしいっか、と思っていたというのに。。。
しかも前日になって初めて知る自分の伴奏パート。別にそれ自体は難しくはない、ただ単純に手を下ろしたり上げたりするストロークの繰り返しだけのはずなのに、頭が混乱してそれすらも弾くことはできませんでした。自分の不甲斐なさに悔しさがこみ上げました。
そこで私は悟りました。レッスン後は家で最後の悪あがき自主練をしようと思っていたけれど、これは今から付焼刃的に練習したところでなんの意味もなさないんじゃないか。自分の技術が今から飛躍的に伸びることなどないこの段階で、それでも今日残された時間を練習につぎ込むべきなのか?
答えは否。レッスンを終えて家に帰ってからは一切楽器に触れることなく、昼寝と家事に没頭しました。
そして思う。僕が明日うまく演奏を弾けるのか、ボロボロな演奏をするのかは、地球上の人類の誰にも1mmの影響も与えない。そして自分の人生にさえ、きっと何の影響も及ぼさないんだろう。そうやって開き直って酒を飲んで映画をみていたら、バンジョーのことなんてすっかり忘れて気づいたら朝を迎えていました。
緊張の発表会当日
朝から発表会が嫌で嫌で胸焼けしていて、太田胃散を探したけど買い置きしてなくて過去に飲み切ったときの自分を恨んだ。

発表会の会場はある個人経営の飲食店?バー?を貸し切って行われていました。人数は全部で20名程度でしょうか、主に50代くらいの男女がわらわらと集まっていて、皆バンジョーというマイナー楽器を持っているなんだか不思議な空間です。
もちろん知り合いはいなく、会場についたところで案内してくれる人もいないのでひとまず、空いている席に腰掛けて周囲の様子を窺います。
どういう感じで演奏会がスタートするのかスケジュールもよくわからず戸惑っていました。先生は基本適当なので、特に説明とか案内をしてくれる様子もなく、ステージ周りで色々と忙しそうに準備しています。
特に演奏順などは決まっていなかったらしく、開始時刻になると、「今日初めて参加の人は早めに演奏しましょう」と先生が全体に向けてなんとなく声をかけだし、「○○さんは初めてですよね?」などと初参加の生徒を呼んで確認していきます。そして僕の名前は呼ばれず「以上で間違いないですかね?」と終了の確認。あれ?先生昨日あんなに初心者丸出しの僕とレッスンしたばっかですよね?(笑)
存在を忘れられている気がしたので手をあげて「僕も初めてです」とアピール。「あぁ、そうだ、たっつーさんも初めてでしたね」とここで初めて認知してくれる適当な先生。あぶねー。
そして演奏本番
そして演奏会が始まり、序盤に自分の番が回されました。
極度のあがり症の僕は、人前に立つだけでバンジョーのネックを持つ左手が震えました。そして先生の合図と共に僕が最初の数音を弾き、そのテンポに合わせて伴奏を始めてくれる他のパートの皆さん。
緊張で弦を弾けていないのか、自分ですら自分の音を認識できない。あれ、僕の音、ミュートになってない?てかこれ、メインメロディの僕の音が聞こえない今、インストになっちゃってない?って思いながらそれでもとにかく楽譜を追って指を動かし続けました。あの時僕の音は世界に届いていたんだろうか。
そんな極めてレベルの低い演奏だったんですが、他パートの方たちが止まらずに伴奏を続けてくれるというファインプレーのおかげで途中で止まるという最悪の事態は回避してなんとか最後まで演奏を終えることができました。
終わって自分の席に戻ると、近くに座ってた知らないおじさんが「よかったですよ」と優しく声をかけてくれました。感謝。世界は優しさに満ち満ちているんだネ…
ノンストップのバンジョー発表会
そしてその後は他の生徒さんの演奏を聴く時間です。バンジョーの要であるブルーグラスミュージックは、どれもこれもぶっちゃけ同じ曲調なので、トータル4時間位演奏を聴き続けましたが途中でほんとに申し訳ないけど普通に飽きてきて、JPOPが恋しくなりました。早くイヤホンを付けてofficial髭男dismやMrs.GREEN APPLEの曲が聴きたい。
そうこうして発表会は幕を閉じました。他の人との交流は例のおじさんが声をかけてくれただけだったので皆無に等しかったし、情けない演奏だったのは間違いないけど、とにもかくにも無事に演奏を乗り切ったという達成感を抱きながら帰路につきました。

全然弾けなかったけど、たぶんこの発表会に向けて練習したおかげで結構上達できたし。何かに向けて頑張るってすばらしいことだよね、うん。色々面白かったので、発表会は参加してよかったです。そして家に帰って、ほっともっとのファミリーパックとクリアアサヒで乾杯したのでした。


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